ベーカリーで自動レジ、
ベンチャー企業Viscoveryがスマートリテール「戦場」で話題を独占
2019 年 3 月 8 日
BusinessNext 記者翁書婷の報道 (全文を読む)
2008年に創業したViscoveryは、台湾でも知名度の高いコンピュータビジュアル開発のベンチャー企業だ。「Alibaba Entrepreneurs Fund(Taiwan)」の投資を獲得した過去もあり、創業当時は「コンテンツ関連広告」サービスに特化し、Tencent、SOHU、LETV等、中国の大手コンテンツ配信プラットフォームで採用された経歴がある。2019年、Viscoveryは日本のスマートリテール向けに「パン画像認識レジシステム」「商品画像認識レジシステム」「画像検索ソリューション」の3つを柱にサービスの展開を開始した。台湾国内ではすでに最大手ECサイトへ技術提供しており、早ければ今年下半期には同社製品が市場にお目見えする。
身近なハイテク:パン認識技術がベーカリー業者の関心を鷲掴み
Viscoveryの人工知能、ディープラーニング、コンピュータビジョンを元に開発された「画像認識レジシステム」は、従来のバーコード読み取り方式のレジにとって代わる技術だ。消費者が商品をカウンターの上に置くと、コンピュータが自動で認識し、商品項目と数量、価格を表示、簡単操作でスピーディに会計が行える。認識精度は98%以上を誇り、それは商品がパッケージングされているかどうかに左右されない。パッケージ上のシワやパンの上にまぶされたパウダーの量等、外見上の差異に影響を受けず、正確に認識することができる。
パン認識システムは台湾系のベーカリー業者の好評を得ている。「パンは個体差が出やすい商品で、全く同じ仕上がりになることはなく、コンピュータでの認識は非常に困難だが、私達の技術はその問題を克服することに成功した」とViscovery運営長劉志錕は語る。
Viscoveryのソリューションはハード面の導入コスト抑え、統合も簡単
「Amazon Goの無人ショップを見てもわかるように、1店舗のハードを入れ替えるだけでも何百ドルものコストがかかってしまう。Viscoveryのソリューションなら、用意するのは一般的な1080PのウェブカメラとGPU運算設備のみ、1,200USD(約127,000円)ほどで済み、現行のPOSシステムとの統合も可能」と劉志錕は強調する。
消費者にバーコード読み取りを行わせる従来のセルフレジも、すでにおなじみの光景となっているが、消費者はやはり全てのバーコードを読み取る必要があり、レジ作業時間が短縮されたわけではなく、混雑時には行列ができることに変わりはない。
新商品登録の際も、Viscoveryのソリューションに必要な準備は写真を5枚用意するだけだ。簡単に更新ができ、システムに訓練を施す必要もない。商品の入れ替えが多いリテール業界において実用度は高い。
Viscoveryの「画像検索ソリューション」は、文字検索による制限をなくし、直感で素早く確実に検索ができる。検索できる商品は服や化粧品にとどまらず、例えばタイ語で表記された食品類、文字で表現しづらい服のパターン等、文字による検索が困難な商品の検索に最適だ。
下半期には日本子会社を設立予定
Viscoveryでは現在、台湾国内の他に、シンガポール、香港、韓国、日本等国際市場の開拓を積極的に進めている。日本はマーケットの基礎が整っており、高齢化、少子化、労働力不足等の問題も顕著なことから、AI技術採用の機運が高いと見込んでいる。2019年は日本市場に注力しており、下半期には日本支社を設立する予定だ。
BusinessNextに掲載されました:https://www.bnext.com.tw/article/52505/viscovery-ai-cv