小売業界の課題を解決 Viscoveryの画像認識セルフレジ

2020 年 5 月 6 日

少子化による人件費の上昇を解決するべく、多くの企業がオートメーション化の導入を開始している。ベンチャー企業のViscoveryは、飲食業界や小売業界の第一線で働くスタッフを長年観察し、お会計の際に商品一つ一つをPOSシステムに打ち込む手間を、画像認識技術で解決できないだろうかと考えた。AI画像認識で商品の識別が可能になれば、時間短縮につながり、全体の効率アップをサポートできるのではないだろうか。

2013年に創立されたViscoveryは、当初、ウェアラブル端末認識システムやOTT画像識別システム、工場用識別システム等を制作していたが、社内討論の末、小売業界と飲食業界に特化した製品を開発することにした。
Viscoveryの営業課長陳麗安は、「一つの商品につき5〜10枚の写真があれば、約1分ほどでAIの学習を完了させることができる。新商品の登録も、商品登録システムに写真をアップロードするだけ。店舗内で登録作業を完了させることが可能」と話す。

Viscoveryのこのサービスは、ベーカリーショップ、レストラン等でセミセルフレジとしての使用を想定しているが、台湾オンラインショッピングモールMomoでは画像検索エンジンを導入、現在検索可能なアイテムはアパレルで、将来的にはさらに多くのアイテムに対して画像検索が可能になるよう両社の間で積極的な討論がなされている。

日本への駐在員事務所を今年四月に設立する予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、この計画は延期せざるを得なくなってしまった。初の海外拠点について、営業課長鄧福元は「日本はアジア各国の市場調査の拠点として便利な位置にあり、既に導入が決まっている国へのアクセスもいい。加えて日本は労働力不足と少子化問題を抱えた国で、無人店舗の試みを行うなど、AI産業に対して積極的な印象だ。画像認識の需要が高いように思われるので、弊社の初の海外拠点は日本しかないと考えた」と話す。

近年のAI開発スピードはめざましく、ベンチャー企業はもとより、大企業の参入も続いている。2013年にAI認識システムを立ち上げたViscoveryは、その市場の変化についてどう考えているだろうか。
陳課長は「AIマーケットの人口増加は感じているが、全ての企業、チームがその業界の課題を真に理解しているとは限らない」と話す。小売業、飲食業の状況を長く観察してきたViscoveryだからこそ、課題の把握と解決方法を深く探ることができ、また、独自開発したシステムは、細やかな改善を随時加えていくことが可能で、それが認識率98%以上を達成し、Viscoveryの大きな自信となっているようだ。

海外布陣の延期を余儀なくされたものの、新型コロナウイルスの影響は、ベーカリーショップの売り上げ増加という新たなトレンドを生み出した。また、感染防止の観点から商品はビニール袋に入れられることになったが、ショップの第一線で働くスタッフの苦労を削減するべく、Viscoveryは画像認識テクノロジーにさらに磨きをかける。

ViscoveryのAI画像認識システムは、「袋に入れたパン」の認識ができ、会計を加速させ、小売業の課題を解決します。
▲ 袋で包装されたパンの認識
▲ 袋で包装されたパンの認識