マイクロマーケット無人店舗の進化とトレンド

2024 年 5 月 28 日

ときどき、ビジネスオフィスやキャンパス、病院、あるいは比較的辺鄙な郊外の工場や物流センターなどの閉鎖型施設で「マイクロマーケット」と呼ばれるエリアが見られます。ここでは、食品、飲料、スナックなどの小売商品が販売され、その施設で働く人々が手近な場所で購入できるようになっています。マイクロマーケットは無人店舗で、24時間営業が特徴であり、ますます多くの事業主や組織運営者によって導入され始めています。

マイクロマーケットの起源

マイクロマーケットは自動販売機の進化形と言えます。単一の自動販売機から「店舗全体の商品を自分で選んで会計できる」形式に拡大するまでには、35年の時間がかかりました。1867年、世界初の自動販売機が登場し、当時は切手を販売していました。1880年代初頭には、イギリスのロンドンで最初の硬貨式自動販売機が駅や郵便局に設置され、ポストカード、便箋、封筒を販売しました。1

1895年6月、自動販売の概念が飲食業界に入り、ドイツのベルリンにあるQuisisana(クイシサーナ)という会社が世界初の全自動機械式無人レストラン「アウトマート」を設立し、顧客は硬貨で事前に準備された食品を購入することができました。その後、このセルフサービスレストランの概念はヨーロッパからアメリカに広がり、1902年にHorn & Hardartの共同創設者がQuisisanaのレストラン向け自動販売機を購入し、フィラデルフィアにアメリカ初の全自動機械式無人レストランを開設しました。このレストランはその後も複数の支店を開設し、流行の時期がありました。2

この時、人々はセルフ決済の利便性に気付き、自動販売機の形式は進化を続け、最終的に「空間」を単位としたマイクロマーケットが誕生しました。

▲ 20世紀初頭、アメリカの自助無人レストランHorn & Hardart (画像出典:ThoughtCo.)
▲ Horn & Hardart 無人レストランの利用方法説明 (画像出典:HAI)

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マイクロマーケットの運用場所

マイクロマーケットは中小型のセルフサービス式小売スペースとして、消費者により便利な買い物形式を提供します。主な特徴はセルフサービス、24時間営業、製品の多様化、柔軟なスペース運用、テクニカルな運営などがあります。消費者は商品を選んだ後、セルフレジを使って迅速に会計でき、待ち時間を減らします。

規模は小さいながらも、マイクロマーケットが提供する商品は非常に充実しています。マイクロマーケットの運営者は、その施設の消費者ニーズに合わせて販売品目をカスタマイズ調整することができます。また、セルフサービスと無人運営という特徴は、企業オフィス、学校、病院、工場などの閉鎖型施設の運営者に非常に好まれています。

オフィスビルでは、従業員はしばしば迅速に飲食のニーズを解決する必要があり、買い物が不便な場所にある場合、マイクロマーケットはオフィスビルを出ることなく必要な物を購入できる便利さを提供します。これにより業務効率が向上し、従業員にさらなるサポートを提供できます。マイクロマーケットは独立したスペースとして設置することも、従業員の休憩エリアを改造することも可能です。

学校では、学生や教職員の日常のニーズは多様であり、マイクロマーケットはキャンパス内で多様な商品を提供します。例えば、文具・事務用品(ペン、ノート、テープなど)や日用品(歯ブラシ、歯磨き粉、コンタクトレンズ液、ウェットティッシュ、綿棒など)を迅速に購入することができます。

工場や病院の従業員の勤務時間は通常固定されており、マイクロマーケットは従業員の日常的な買い物ニーズを即座に満たします。特に夜勤の従業員にとって重要です。辺鄙な地域では、従来の大型スーパーの設置コストが高く、運営が難しいため、マイクロマーケットは小型の小売店としてその難点を効果的に解消し、地元住民に必要な生活必需品を提供します。

▲ AI画像認識を利用したセルフレジを導入したマイクロマーケットは、企業のオフィスビルに応用され、従業員の休憩エリアとして活用されている (画像出典:Viscovery)

マイクロマーケットの技術トレンド

マイクロマーケットは無人店舗の先駆けであり、さまざまな技術の進歩によってその運営効率を高め、顧客サービスを最適化しています。例えば、モバイル決済は消費者の支払いの利便性を大幅に向上させます。データ分析は、マイクロマーケット運営者が消費者のニーズをより深く理解し、商品供給と在庫管理を最適化するのに役立ちます。また、「セルフレジシステム」の進化に伴い、最近では「AI画像認識技術」を導入するマイクロマーケット運営者も増えています。例えば、日本の仙台にあるデパートでは、従業員の休憩エリアを従業員専用のマイクロマーケットに改装し、AI画像認識レジでサービスを提供しています。

セルフレジにカメラを設置し、カメラを通じてシステムが消費者が購入しようとしているすべての商品を自動的に認識し、会計情報をレジに送信します。消費者は買い物リストを確認し、支払いを行えば完了です。

AIは消費者に大きな利便性をもたらし、会計時に商品バーコードを一つ一つスキャンする必要がなく、全体の操作が簡単で直感的です。会計の流れを効果的に簡素化し、顧客体験が最適化されます。

▲ 日本の大手デパートが従業員に提供するマイクロマーケットには、AI画像認識セルフレジシステムが導入されている (画像出典:Viscovery)

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マイクロマーケットの未来の発展

技術のさらなる発展に伴い、マイクロマーケットの未来は様々な可能性に満ちています。IoT技術とビッグデータ分析を通じて、マイクロマーケットはスマートリプを実現し、販売状況と在庫状況に基づいて自動的に発注し、商品が欠品しないようにします。AIアルゴリズムとビッグデータ分析を利用して、マイクロマーケットは消費者の購買履歴と嗜好に基づいて、顧客専用の商品レコメンドやプロモーション活動を行うことができます。

将来的には、マイクロマーケットには現場調理や新鮮なコーヒーを提供するサービスなど、さらに多機能のセルフ機器が導入されることが期待されます。環境意識の高まりに伴い、マイクロマーケットもより環境に優しい、持続可能な発展を目指し、分解可能な包装材の使用やペーパーレスレシートの推進などを行います。

世界的に深刻化する「労働力不足」の問題に対し、マイクロマーケットの無人化、セルフ式の特徴は人手不足の解決策を提供します。AIなどの新技術の導入により、マイクロマーケットの運営効率とサービス品質はさらに向上し、小売業においてより重要な役割を果たす可能性があり、徐々に人々の生活に不可欠な一部となっていくでしょう。

[出典]
1 Bellis, Mary. “The History of Vending Machines.” ThoughtCo, 3 December 2019, https://www.thoughtco.com/the-history-of-vending-machines-1992599.
2 Kim, Colleen. “A Dining Experience to Remember: A Brief History of the Automat.”HAI, https://www.historyassociates.com/automat/.